洗われたグラスが綺麗なのは当たり前だと皆さん思っているかもしれないが、実はそうではない場合が多いです。洗浄の基準としては『一般的な食器用として綺麗』と『ビール用に適した綺麗』は全く別の厳しい基準があることを皆さんに知ってほしいです。空の状態では見えない事が多いですが、実は『綺麗ではないグラス』にビールを注ぐとグラスの内側にビールの泡がへばりつきます。
画像にあるビールグラスは一見、綺麗に見えると思いませんか。
原因
- 飲み口に残された唇の油じみ、又はグラス内の染み
- 乾燥したビールの汚れ
- 洗い残し
- リップの跡
- 石油系の食器用洗剤の使用
上記のいずれかに該当したらグラスは『ビール用に適した綺麗』なグラスではなくなり、ビールの特徴を失わせ、状態は早く悪化し、ビールに悪影響を与えます。
ビールに対する悪影響
- 泡立ちが悪くなる
- 泡持ちが悪くなる
- 泡跡が少なくなり
- 炭酸が通常より早く抜ける
ビールにはプレゼンテーションが大事です。ビールの透明度、色と泡立ちが消費者に外観的なアピールをする為です。グラスの内側に泡がへばりつくとプレゼンテーションが崩れます。この様なグラスを使うと、透明度と色がはっきり分からなくなり、違和感を与えます。また、泡立ちと泡持ちはアロマにとって重要ですが、泡が早く消え、ビールの香りを発揮しにくくなり、ビールの風味に影響します。ビールの新鮮度を計るレーシング、あるいはエンゼルリングと言うリングの形をした泡跡が少なくなり、炭酸が通常より早く抜け、風味が変わって美味しくなくなります。醸造者はビールのレシピを開発する時、ビールに溶け込む炭酸の量も計算します。ですが炭酸が早く抜けると、ビール醸造者が作ろうとした本来のビールではなくなります。
改善方法-グラスをキレイに保つ為のアドバイス
- ビールグラスを洗う場所は出来るだけ清潔に保つ
- 食器とビールグラスそれぞれのスポンジを分ける
- 非石油系の食器用洗剤に変える
- ビールグラスはビール専用にする
- ビールグラスを使った後は出来るだけ早く洗う
食器用洗剤の一部は石油系(petroleum-based)の成分を元に作られています。この成分は食べ物に含まれる油と脂肪を良く落とすが、洗剤を洗い流しても食器に付着して薄いフィルムの様な膜を残す場合もあります。米国では流行りの洗剤ブランドのJoy(日本向け製品とは違う), Ivory, Dawn, Dishmate, Ecoverは石油系です。また、洗剤に合成香料が添加されたものだとビールのアロマの邪魔をする事があります。
従って食器用洗剤は、天然の植物精油を使用した無香料の製品に変えるのをお勧めします。(まずは非石油系であることを優先しましょう。)日本で販売されている中ではフロッシュとハッピーエレファントという銘柄が手に入れやすいでしょう。これからはクラフトビールのお店に行っても家で飲んでも、グラスの内側に泡がへばりついていないか気にしてみましょう。
次回の投稿ではグラスが綺麗かどうかの確認方法をご紹介させて頂きます。
では乾杯!