シセロン

シセロン(Cicerone)とは2007年創設のシセロン認定資格プログラム(Cicerone® Certification Program)のビールソムリエの呼称資格である。この資格プログラムはレイ・ダニエルズ(Ray Daniels – 醸造者組合の代表)によってイリノイ州シカゴ市にて創設され、その理念は今日の幅広い種類のビールの選択、取得及び提供において、実績のあるプロを育てるということだ。ソムリエの呼称資格(sommelier)はワイン専門家の認定資格であり、2007年までは業界に認められているビール専門家の認定資格はなかった。シセロンの認定制度は最も下のレベルの認定ビールサーバーから(Craft Beer Server、以下CBS)、認証シセロン(Certified Cicerone®、以下CC)、アドバンスドシセロン(Advanced Cicerone®,以下 AC)、そして最も高いレベルのマスターシセロン(Master Cicerone®, MCの省略)の4つから成る。シセロン認定プログラムは世界中のクラフトビール業界に受け入られ、創設から11年後の現時点ではCBS認定資格者11万人、CC認定資格者3800人、AC認定資格118人、MC認定資格者18人が誕生している。

シセロンの定義

シセロン認定資格プログラムにてシセロン呼称資格は、今日の幅広いビール種類の選択、仕入れ、及び提供において実績のあるホスピタリティのプロフェッショナルを言う。 シセロンとして認められるにはCC試験認定資格を得るかAC又はマスターシセロンMCとしてより高いレベルの商標名認定資格を得る必要がある。 基本的なレベルの専門知識を持っている人は、初級レベルのCBSを獲得することによって認められている。

1. CBS認定資格 – ビールの仕事に携わる人のための一般レベルの認定

『素晴らしいビールを提供するにはまず基本から始まる。清潔なグラス、適切な注ぎ方、不適切な取り扱いによって台無しになってないビールだ。 そして今日のビール界では、バーテンダーとお客様間のあらゆる対話はビアスタイルと風味の話しから始まる。認定ビールサーバーの試験では、これらのスキルを評価して、今日の幅広い種類のビールを提供する準備ができている人を認定する。』 注1

CBS認定試験にはテイスティング試験は無く、英語が理解できれば、業界経験や事前知識を持たなくても200ドルを支払い申請すれば誰でもネットで受験ができる。申請すればすぐにシセロンホームページのインタラクティブな勉強教材システムであるビアサビー(BeerSavy、ビール通と言う)に3か月間にアクセスできる。その間、教材で勉強し、シセロンのホームページにてCBS認定試験を受験することができる。200ドルの申請料は初回の受験料込みとなっており2回目からは別途支払いが必要だ。また受験は2回しかできない。英語ネイティブには勉強時間5~8時間で十分なはずだが、第2言語の方はもう少し掛かるだろう。制限時間は30分で60問の選択問題の試験で合格基準は75点以上だ。勉強を始める前に試験に出る内容をシラバスにて確認した方が良い。合格すれば数週間後にピンとバッジがアメリカから届く。

CBSのバッジとピンです。

2. CC認定資格 – ビールの専門家を対象とした認定資格

『ビールに携わる仕事をするプロフェショナルを対象としたこの認定資格を取得するとシセロンの呼称資格を獲得できる。 現在この認定資格はバーテンダーからビール醸造所の社長まで業界のほぼすべての役割で3,800人以上の人々が獲得している。ビールのキャリアを追求する人々は様々な情報源から学び、彼らはすぐにカウンターの「お客様」側の人々と一線を画した知識を蓄積する。 しかし、認定資格プログラムが無くては履歴書と名刺を見るだけで本当の知識レベルを見分けるのは難しい。』 注2

CBS合格者はシセロン呼称が与えられる訳ではなく、CC試験を合格しなければならない。CC認定試験は制限時間4時間で筆記試験160問(筆記試験)と小論文3問およびテイスティング(官能評価)試験12問と録画されるデモンストレーション1問から成る。テイスティング試験はオフフレーバー4問、ビアスタイル4問、このビールを提供すべきか否かの4問に分かれている。試験点数は筆記66.75%、小論文12.50%、デモンストレーション4.0%、テイスティング16.75%と計算され、受験料は395ドル、筆記試験のみの再受験は175ドル、テイスティングのみの再受験が100ドルとなる。合格基準は筆記試験80点以上、テイスティング70点以上であり、いずれが不合格の場合、3年の間に不合格分の再受験が必要となる。現在アジアでは香港と韓国で年1~2回の受験が可能だが、残念ながら日本では開催されていない。

5つの試験テーマと問題の割合
  1. ビールの取扱いと提供(Keeping & Serving Beer) (25%)
  2. ビアスタイル(Beer Styles) (25%)
  3. 風味と官能評価(Flavor & Tasting) (25%)
  4. 醸造工程と材料(Brewing Process and Ingredients) (15%)
  5. フードペアリング(Beer & Food Pairing) (10%)

CBS合格済みが前提条件でCC認定試験の内容はCBSと全く違う高い知識レベルを認める試験である。CBS合格後1~2年の勉強時間が必要であるとシセロンホームページに記載されており、個人的な経験で言えばCC合格には10ヶ月を要した。勉強を始める前にCC認定試験のシラバス研究リソースページ主要なリソースページを確認し、勉強のための必要な本と教科書を買った方が良いだろう。個人的にはRoad To Ciceroneという教科書が大変役に立った。なお、シセロン認定プログラムはBCJPビアスタイルガイドラインに基づく。日本地ビール協会のビアテイスターとビアジャッジ認定試験のBAビアスタイルガイドラインとは異なるガイドラインだ。受験1か月後に試験結果の通知がメールで送信され、合格の場合はピンとバッジが2か月後にアメリカから届く。

CBS合格者はシセロン呼称が与えられる訳ではなく、CC試験を合格しなければならない。CC認定試験は制限時間4時間で筆記試験160問(筆記試験)と小論文3問およびテイスティング(官能評価)試験12問と録画されるデモンストレーション1問から成る。テイスティング試験はオフフレーバー4問、ビアスタイル4問、このビールを提供すべきか否かの4問に分かれている。試験点数は筆記66.75%、小論文12.50%、デモンストレーション4.0%、テイスティング16.75%と計算され、受験料は395ドル、筆記試験のみの再受験は175ドル、テイスティングのみの再受験が100ドルとなる。合格基準は筆記試験80点以上、テイスティング70点以上であり、いずれが不合格の場合、3年の間に不合格分の再受験が必要となる。現在アジアでは香港と韓国で年1~2回の受験が可能だが、残念ながら日本では開催されていない。

シセロンのバッジとピンです。

3. AC認定資格 – 独特の専門知識とテイスティングスキルの称号

『ACはシセロン認定プログラムの3番目の認定レベルだ。 それは消費者と醸造者の両方の語彙を使用してビールの風味の認知とそれを表現するための優れた能力と同様に、ビールのしっかりした理解と特有の専門知識を必要とする。』注3

CCの合格が前提条件となりAC認定試験は更に幅広い知識が求められる試験である。主要なリソースページにて本24冊と他の教科書、リソースを加算した32件の資料を参考にした勉強が推奨されている。CC試験より厳しく1日がかりの試験になり、複数の筆記試験と口頭試験、テイスティング試験に分かれている。受験料は795ドル、筆記試験のみまたはテイスティングのみの再受験は各375ドルとなっている。合格基準は筆記試験80点以上、テイスティング75点以上であり、いずれが不合格の場合、3年の間に不合格分の再受験が必要となる。現在アメリカとイギリスでしか受験できない。勉強する前にシラバスの確認をした方が良いだろう。

4. MC認定資格 – ビールの専門知識の最高峰のテスト

『マスターシセロンはシセロン認定プログラムの最高レベルの認定資格である。醸造工程とビアスタイルとペアリングについての卓越した理解を有し、優秀なテイスティング能力と商業的なビールに関する博学な知識を併せ持つ。マスターシセロン認定試験ではビールのあらゆる技術的側面および美的側面を習得する事が試される。 候補者は、仲間としてプロフェッショナルの醸造者やシェフと会話し、熟練した品質管理パネルメンバーのテイスティング能力を証明しながら、明確かつ解り易い言葉で消費者と話す必要がある。 これらのスキルを持つ人々は、様々な組織のコンサルタント、教育者、およびナレッジリーダーとして業界に貢献する。 』 注4

MC認定試験はイリノイ州シカゴ市のシセロン認定プログラム本部にて年1回行われ、極めて幅広い知識内容を求められる試験である。二日間で複数の筆記試験、口頭試験、ビアスタイルのブランドテイスティング、幅広いオフフレーバーテイスティング、ブラインドテイスティングのアセスメント、そして実用知識を認めるデモンストレーションはアメリカのクラフトビール業界のベテラン12人以上にて評価される。小論文はMCシラバスの知識の幅広さを厳しく評価される。合格基準は85点以上だ。

注釈

  1. “Certified Beer Server Overview,” Cicerone Certification Program, 最終閲覧日 2019月6月3日, https://www.cicerone.org/us-en/certifications/certified-beer-server.
  2. “Certified Cicerone Overview,” Cicerone Certification Program, 最終閲覧日 2019月6月3日 , https://www.cicerone.org/us-en/certifications/certified-cicerone.
  3. “Advanced Cicerone Overview,” Cicerone Certification Program, 最終閲覧日 2019月6月3日 , https://www.cicerone.org/us-en/certifications/advanced-cicerone.
  4. “Master Cicerone Overview,” Cicerone Certification Program, 最終閲覧日 2019月6月3日 , https://www.cicerone.org/us-en/certifications/master-cicerone.